コーンパイプ旅行記     「深日本紀行」

JTタバコ(世界の縮図)

コーンパイプ旅行記、旅立ちは日本からとなる。
その理由なんだが、まずは旅行は国内からと言った安直な考えもあるが、本当の理由は「パイプ煙草を理解するのにJTのラインナップが最適」だと考えるからだ。

JTのパイプ煙草は良い意味でガラパゴス化している。
悪く解釈すれば、国内でしか通用しないとも言えるが、見方を変えると「パイプ煙草のリトル・ワールド」として楽しめると思っている。
「イギリスタイプ」の桃山と飛鳥。
「アメリカタイプ」であるロックンチェアにプロムナード。
最後に「ヨーロッパタイプ」である、カピートとシルクロード。
この様に、総てのタイプを系統的にラインナップしているブランドは意外と少ない。

もっとも上記のタイプ分け、日本独特の分類の仕方だとされている。
何でもグローバルでは、パイプ煙草は「バージニアブレンド」「ラタキアブレンド」「アロマティックブレンド」と分類するのが一般的とも言われている。
しかし、ルイ・ロペス的には日本の分類方法が、現在のパイプ煙草を知るのに、より適していると考えている。
何故なら、日本のパイプ煙草が「パイプ煙草の近代史」を写す鏡となっているからだ。
確かに日本独自の解釈であり、いささか箱庭的とも言えるが、JTのラインナップは、世界のパイプ煙草総てを網羅していると言っても過言ではない。

では早速、JTのパイプ煙草をテキストに、「パイプ煙草の近代史」の旅に出かけよう。

パイプ煙草の近代史

「パイプ煙草の近代史」

パイプ喫煙が世界中に広まったのは、第二次世界大戦がきっかけである。
この大戦を契機に、アメリカは世界の覇権を手に入れるのだが、軍を進駐した国々に、次々とアメリカタイプのパイプ煙草を持ち込んだ。
コーンパイプをくわて厚木基地に降り立ったマッカーサーが有名だが、たぶんこれらは経済政策の一環としての演出だったと考えられる。
これが功を奏し、世界のあちらこちらでアメリカタイプの煙草が根付いて行った。

それ以前は、イギリスの煙草が主流であり、パイプ煙草と言えばイギリス制に限ると、世界中を支配していた。
香料を使用せず、高品質な原料に熟成やブレンド等の技術を磨いて作られた職人芸とも言えるパイプ煙草だったが、反面お値段も敷居も供に高いものだった。
これに対しアメリカは、自国で大量に生産されていたバーレーに、様々な香料を添加し、安価な商品を次々と生み出して行った。
アメリカ製のパイプ煙草は、アメリカの覇権拡大と歩みを同じくする様に瞬く間に世界を席巻し、一時はイギリス煙草を押しのけ王座に君臨する事となる。
もっとも、色とりどりの着香で、分かりやすく親しみやすいアメリカタイプの煙草は、パイプ喫煙の裾のを広げる事にも一役買い、戦後のパイプブームを生み出す事となった。

これに対しヨーロッパの大陸部では、1930年頃からアメリカの着香技術を導入し、新たな道を模索し始めていた。
それ以前は、イギリスの下請け的な位置づけで、イギリスへの輸出を目的とした製品や、模倣品の製造を主に行っていた。
ところが戦後、アメリカタイプが世界に広まると供に、ヨーロッパは原料重視のイギリスタイプと、人工的な味付けのアメリカタイプの間を取った煙草を生み出す事となる。
それが、オランダのダッチ(オランダ コンチネンタル ナチュラル)と、デンマークやスウェーデンのダニッシュ(ダニッシュ スカンジナビアン)である。
2025年現在、もっとも勢いのあるのがこのヨーロッパタイプで、パイプ煙草の製造国に至っては、デンマークとドイツの2強体制になっているのが現状である。

さて、ザッとではあるが「パイプ煙草の近代史」をおさらいした所で、そろそろ日本旅行の旅に出かける事としよう。

桃山

【南蛮の香りと和ティスト】

さて「コーンパイプ旅行記」、世界へ旅立つ前に日本をまわって歩こうと思う。
いい意味でガラパゴス化しているこの国は、ある意味世界の縮図と言っても、あながち外れてはいない。
「パイプ煙草の近代史」のレクチャーを兼ねながら、日本旅行を楽しむとしよう。

1934年、国産パイプタバコ第一号として販売を開始したのが「桃山」、未だイギリス煙草こそ最高とされていた時代に作られたのが、このブレンドだ。
人工的な香料やバーレーを使わずに、煙草葉の加工技術とブレンドのみで「日本人が考える美味しい煙草」を目指した。
なお、販売当初は銀地に赤い帆船だったデザイン、現在は少々グレードアップしている。
シンボルマークは製造当時と同じ「オランダ帆船リフーデ号(慶長年間 1600年 九州に漂着した帆船)」だが、背景は昔と比べてずいぶんと重厚になった。
ベースは黒地に金の瑞雲模様をあしらったものであり、それはまるで「洛中洛外図屏風(らくちゅうらくがいずびょうぶ)」。
「洛中洛外図屏風」とは、京都の市街と郊外を描いた六曲一双の屏風絵で、作者は国宝や重文などの名作で知られる、狩野派・岩佐又兵衛のものが有名だ。
安土桃山時代から江戸初期に掛けて活躍した大和絵師である。
しかしこのタバコ、文化と歴史の臭いがこれでもかと押し寄せる。
まさに、大航海時代がもたらした南蛮の新しい文化に沸き立つ時代を彷彿とさせるタバコである。

ティンノートは、和テイストの甘い香り。

「ティンノート」、これは漂う煙の「ルームノート」と対で使われる言葉で、「煙草缶を開けた時の、煙草葉そのものの香り」を表現する時に使っている。
私もネイティブではないので、この使い方が正しいのかは分からないが、まあそんなところだ。

ところで、和テイストでは少々分かりづらいので具体的に表現するが、ハチミツに黒糖を加えたような感じ。
お土産で定番の、信玄餅や安倍川餅に通じる味わいだと思ってもらえば良い。
葉組みを見る限りは、明るい色合いのブライトバージニアに、黒い煙草が少量混じる。
ネットで調べると、ブラックキャベンディッシュとも、ダークファイアーキュアードとも紹介されている煙草だ。
しかし発売当時、専売公社であった日本たばこ産業は、ブラックキャベンディッシュは作っていなかったはずだ。
また、桃山がイギリスタイプである事を加味すると、この黒い色合いの葉は、ダークファイアーキュアードと考えるのが妥当かもしれない。
イギリスタイプの代表的な煙草と言えば「バージニアブレンド」だ。
人工的な香料の使用禁止と、バーレー葉のブレンドをして来なかったイギリスは、バージニア煙草のみで様々な加工技術を生み出して行った。
明るい色合いのブライト、熟成の進んだブラウンにレッド、そしてシャーロック・ホームズが愛飲していたとされるブラックバージニア等がスタンダードだ。
イギリスタイプとして作られた桃山、たぶん限りなくブラックバージニアに近い煙草を使用しているのではないかと考える。
これがハチミツ系の香りと融合し、黒糖を思わせる独特な風味を生み出している。
南蛮文化を取り入れ始めた安土桃山時代を彷彿とさせる、「和テイストな煙草」は、この様に作られたのでは無いかと妄想している。

ただし、日本たばこ産業が製造していた桃山と、現在のマックバレン製造の桃山Ⅱ、レシピは確かに同じではあるが、ベースタバコに違いがあると感じている。
私のつたない経験だが、「製造元、もしくは製造国により生じるタバコの違い」は、バージニアを主としたベースタバコと、加工度合いの高いブラックキャベンディッシュに出ると思っている。
これが様々なブランドの特徴を生み出す事になるのだが、詳しい話はゆっくりと旅をしながら語って行く事としよう。

話を戻すが、日本たばこ産業時代のパイプタバコ、そのベースになっていたのが「缶ピース」だったのではないかと感じている。
あの「甘いバージニアシガレットの銘品」と歌われているタバコだ。
結果として当時の桃山は、よりハチミツ感が強い味わいだったと記憶している。
では現在の桃山Ⅱはどうかと言うと、ハチミツ感はありながらもやや落ち着いた甘さで、パイプタバコとしてはよりこなれた味わいだと思っている。
そこはマックバレン、さすがは昔からイギリスタバコを製造してきた、その技術力の高さが伺えるところである。

ちょっと話が長くなりすぎたか。
あまり最初から飛ばし過ぎると後が続かなくなる、今日はこの辺で旅を終える事としようか・・・

飛鳥

【古都に香る口噛み酒】

あをによし 奈良の都は 咲く花の
薫ふがごとく 今盛りなり

万葉集、小野朝臣老の歌がよく似合うタバコである。

ティンノートは、ベースタバコがハニーテイストだからなのだろうか、ややトーンの高いラタキア香だ。
桃山と比べてみると、確かにベースの香は共通している。
何処か和を感じるタバコだが、ハチミツを燻製処理するとこんな味わいになるのだろうか???
安土桃山時代を感じさせるタバコをベースに、ラタキアをブレンドした事により、さらに時代を遡れる味わいとなっている、飛鳥の名前は伊達ではない。
缶のデザインも正倉院の宝物殿にありそうな柄となっているしね。

肝心のタバコだが、葉組をみるとラフカットされている葉が混じる。
通常ラフカットでブレンドされるのはバーレーが多いのだが、バーレー特有のザラついた質感でもないし、シットリとまとまっている。
日本の黄色葉、もしくはダルマ葉なのだろうか、商売手でもない私には分からない事だらけである。
まあ、ブレンドについてはひとまず置いておいて、この味わいをあえて一言表現すれば、「線香にいぶされた古都の寺院の香り」に近いのかもしれない。
専売公社時代の飛鳥は、今のものより蜂蜜が強かった為か、日本酒に例えられたレビューがあったと記憶している。
桃山が信玄餅だとすると、さしずめ飛鳥は大人好みの酒まんじゅうだ。
しかし、飛鳥を吸って改めて思うことは、癖の強いラタキアも、ベースタバコで随分と表情が変わるという事だ。

温かみのある蜂蜜の甘みに、古いお寺の燻された香り。
奈良の山にかかる月を眺めながら、「古都に香る口かみ酒」を楽しんでいる気分にさせられる。

天の原 ふりさけ見れば 春日なる
三笠の山に 出でし月かも (阿倍仲麻呂)

おそまつ様でした。

ロックンチェア

【ノスタルジックなアメリカンタバコ】 

ロックンチェアと言っても、16ビートを刻む「ロックする椅子」の事ではない、座るのが大変である。
JT煙草のロックンチェアは、揺り椅子である「ロッキングチェア」をもじった造語である。

ロッキングチェアと言えば発祥は北アメリカ、このタバコは冬の北海道がよく似合う。
ほのかな蜂蜜の甘みに、ココアの香り。
ボウルの温かみを感じながら、両手で包んでシットリと楽しみたいものだ。
早速ティンノートを確認すると、どうやらオリエントがブレンドされているらしく、アーシーな味わいがココアの味わいに厚みをプラスしている。
ストレートアメリカンでありながら、落ち着きと温かみのあるブレンドだ。
口当たりは、バーレーの粗めの煙がドライ感を出すので、アッサリとしてはいるが、「ラッキーストライク」的なタバコ感は十分楽しめる。
またタバコ葉はやや乾燥気味のため、火付き火持ちが良い。
気取る事無くユッタリ吸えるストレートアメリカン、ログハウスの暖炉で、窓に映る「しかりべつ湖コタン」の、氷で出来たイグルー(圧雪ブロックのドーム)を眺めながら、ロッキングチェアでパイプをくゆらすのは何者にも代えがたい。

しかしこのタバコ、在りし日のアメリカタバコを思い出す。
サー・ウォルター・ラーレ、エジョワース、どちらもココア風味のアメリカンタバコだ。
他には、チェリーブレンドにミクスチャー№79、キューブカットで有名だったボンドストリート。
アメリカでトップシェアを誇ったプリンス・アルバート。
どれもバーレー主体でキャベンディッシュをブレンドしていない、ストレートアメリカン系の銘品だ。
昭和の時代にお世話になったタバコ達であるが、現在の日本では姿を拝むことはできない。
唯一生き残ったのが、ハーフ・アンド・ハーフのみとなった、なんとも寂しい限りである。
しかし望外な事に、JTタバコのロックンチェアとプロムナードはまだ健在だ。
アメリカのパイプタバコが、世界を席巻した頃のノスタルジーに浸れるのは、このロックンチェアをおいて他にはないだろう。

ちなみに、激甘で名高いアメリカタバコの「キャプテン・ブラック」は、キャベンディッシュに特徴のある「アメリカン・ミクスチャー」になるが、JTタバコには同系統のブレンドは存在していない。
実は、次に訪れる予定の「プロムナード」、アメリカンミクスチャーを狙った痕跡はあるが、外し方が微妙なタバコである。
その辺りを足がかりに、旅して行きたいと思う。

プロムナード

【ガラパゴスのアメリカンタバコ】

『プロムナード』フランス語で散歩道の意味を持つ。
なお、野外の庭園などで行われる演奏会、これもプロムナードと呼ばれているらしい。
確かムソルグスキーの名曲「展覧会の絵」、ここで章節の合間に度々出てくる有名な小曲、これもプロムナードと呼ばれていたような、そうでないような。
そんな訳で当初私は、このタバコを「パイプタバコの小径(こみち)」として、旅立ちの序曲にしたいと考えていた。

しかし、日本のタバコをテキストとして、「パイプタバコの近代史」を展開する事で、プロムナードの役割が「アメリカンミクスチャー」の考察に変わった。
結論から言うとこの「プロムナード」、ガラパゴスである日本タバコが考えた「なんちゃってアメリカンタバコ(ミクスチャー?)」だと言うことだ。

(アメリカンミクスチャー)
代表的なタバコは、ブラック&マイルドやキャプテンブラックがある。特徴は「メープル&ココア」の着香と、タバコ葉が粉っぽくなる程の強烈な加工だ。

プロムナードの着香は「メープル&チョコレート」、アメリカンミクスチャーの代名詞と言える「メープル&ココア」を真似したと言われても仕方が無い。
ブレンドに至ってはバージニアとバーレーであり、当時シガレットも同時販売していた事を考えると、ハーフ&ハーフの模倣としか言いようが無い。

(ハーフ&ハーフ)
缶の表記にあったように、ラッキーストライク&バッキンガム・ブライトの、シガレットとパイプの合作タバコだ。
販売形態も、シガレットとパイプタバコの同時発売だった事が有名。

結論として、何処を狙ったのか良く分からない、これがプロムナードである。
表現を変えれば、日本独自のストレートアメリカンと言えるのだが、当時人気のあったタバコの「いいとこ取り」した製品にも見える。
そう言えばこの味わい、マックバレンのチョコレーティなブラックキャベンディッシュとかぶる所もある。
まぁ、日本らしいと言えばその通りであるが、それなりに「旨いタバコ」に仕上がっているのは暁光だ。

強めの蜂蜜テイストのベースタバコに、メープル&チョコレートの着香。
そこにシガレットのタバコ感を出すバーレーが加わる事で、分かりやすい甘さながら、ブラックキャベンディッシュのようなしつこさが無く、ドライでさっぱりと楽しむ事ができるストレートアメリカンになっている。
まさに、「ガラパゴス万歳」である。

カピート メローライト

【日本タバコの黄金時代とブラックキャベンディッシュ】

かつて、日本のパイプタバコ界には黄金時代があった。

喫煙文化華やかざりし昭和の終わり頃、時代を闊歩していたシガレット喫煙者をパイプに誘う戦略、その陣頭指揮を取ったのがこのカピートだった。
ミニパイプの「カピート」を筆頭に、パイプと手巻き兼用の「スタッツ」、喫煙一回分のタバコを小袋分けにした「ワンマイル」、本格的ダニッシュタバコと銘打たれた「フォレスト」等々、次々と新機軸の商品が百貨店のタバコ売り場を賑わした。
今思い出しても夢のような世界だった。

SDGsが叫ばれる現代、かつての喧噪は見る影も無いが、その名残が今回紹介するタバコと、最後を飾る「シルクロード」にはある。
キーワードは、ヨーロッパタイプのタバコを表す「ダニッシュとダッチ」になるが、ダッチに関しては次に譲り、ここではダニッシュのみに話題を絞ろう。

「日本初のブラックキャベンディッシュ」と言えば、このカピートになる。
2003年に行われた「ジャパン パイプワールド」では、JTの開発責任者の方がそんな話を交えながら、フォレストのケーク(厚さ10cm、縦横4~50cm)を持ち上げ、「日本でも、やっと本格的なダニッシュが作れる様になりました」と語っていた。

「ダニッシュ」、正式にはダニッシュ・スカンジナビアンと言うが、デンマークやスウェーデンの、北欧中心に作られているパイプタバコの総称である。
軽い味わいのバージニア、バーレーをベースタバコとし、ブラックキャベンディッシュをブレンドした物が中心となっている。
味わいと甘みのバランスが良く、何よりも着香との愛称がバツグンな為、バリエーションが出しやすく新しい商品の開発に向いているブレンドだと思う。

日本タバコにおいて、このダニッシュの先駆けとなったのがこの「カピート」となる。
ちなみにカピートのブラックキャベンディッシュは、「和風キャラメル」風味で甘さはやや優し目だと感じる。
ただし、ハニーテイストのベースタバコのせいか、レジェンドで吸った時、蜂蜜感が前面に出てきた。
これを踏まえ、小ぶりでノンフィルターのミズー曲で試してみたら、ブラックキャベンディッシュとベースタバコのバランスが取れたメローライト、まさに熟した果物のような甘い味わいが楽しめた。
シガレット喫煙者を視野に入れ開発されたタバコだけあり、小ぶりなパイプで真価を発揮するブレンドなのだろうか???

「カピート」、これはイタリア語で「良~く分かったよ」的な意味になるそうだが、納得の味わいを表す為に使われたとも言われている。
かつての黄金時代を慈しみながら、味わってほしいタバコである。

シルクロード

【オリエントの香りは「悠久の刻」を越えて】

「シルクロード」販売開始はカピート発売以前の1984年、すなわち日本たばこがブラックキャベンディッシュを持っていなかった時代の、最後のタバコとなる。
ブレンドはバージニア、バーレー、オリエント。
ダッチの代表「アンフォラ」と同系統のタバコである。

「ダッチ」、正式名称はオランダ コンチネンタル ナチュラル。
バージニア一辺倒のイギリスタバコに対し、軽めのバージニアにバーレーやオリエントをブレンドした後、ケーク状に圧縮熟成させ、ライト&スムースな喫味を目指したタバコである。
ただし、キャベンディッシュをブレンドしていない為、味わいもバリエーションも出しにくかった様で、商品開発の広がりは今一つパッとしなかった。
そのせいか昭和の時代であれば、同系統の商品もチラホラ見かけはしたが、現在はアンフォラとシルクロード位しかないのが現状だ。

「シルクロード」名は体を表すの諺通り、ティンノートはオリエントが前面に出てくる雰囲気で、広大なユーラシア大陸の砂漠を思い起こさせるタバコである。
ブレンドは、「桃山のベースタバコ」にバーレーとオリエントを加え、そこにほのかなバニラ着香と言ったところだろう。
味わいの構成は、アーシー(大地の香り)と言われるオリエントの、中域部分をベースタバコの蜂蜜感が補い、高域をバニラ着香が助長している。
いやぁ~、分かりやすいオリエントの味わい、まるで眼前に敦煌(トンコウ)の莫高窟(バッコウクツ)が現れたようだ(いささか盛り過ぎではあるが)。
結果として、いつもは脇役に回ることの多いオリエントが、ハッキリとした甘さと、腰の強い味わいで主役を張っている。
「悠久の刻」を越えて、在りし日の大陸に旅立つには打って付けのタバコである。

しかしこのタバコ、何処かで味わった記憶がある・・・
あれは確か「楢崎ブレンド」にあった、ヨーロッパタイプのブレンドだったか。
私が所持している1976年出版のパイプ書籍に、当時専売公社のマスター・ブレンダーを務めていた楢崎さんが勧める、「マイミクスチャー38種」が掲載されているが、その中の一つがシルクロードと良く似た味わいだった。
ロックンチェアをベースに桃山をブレンドしたものだったと思うが、確かにブレンドの構成は同じであるが・・・
おっと、いささかしゃべり過ぎたか、この件については新企画の「コーンパイプ研究室」の、楢崎ブレンド特集で行う予定にして、そろそろ日本を離れ海外に旅立つ事としよう。

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